「犬フィラリア症」
キャンディ動物病院 石川記代院長
―― 春を迎えペット(犬)が気をつける病気は、ありますか。
石川「犬フィラリア症」についてお話しします。
犬フィラリア症は蚊から感染する代表的な犬の感染症です。
成虫は犬の心臓内に寄生し、最大30センチにもなる糸状の細い寄生虫です。
多数寄生することで血液の流れが妨げられ、心不全、弁膜症、肺動脈塞栓など様々な障害が発生します。
一般的な症状は、元気または食欲がない、咳がでる、お腹が膨らんできた、呼吸が苦しそう、などです。
また、成虫が血管に詰まるとショックを起こし急死することもあります。
一度感染してしまうと完治は難しく、残念ながら死にいたるケースも少なくありません。
治療が大変難しい感染症ですので、予防が最良の方法です。
予防を怠れば、犬フィラリア症に感染する確立は高いと思います。
―― 予防について教えて下さい。
石川犬フィラリア症はとても多い犬の感染症ですので、各薬剤メーカーから様々なタイプの
予防薬が発売されています。
毎月1回、1カ月間隔で服用するタイプ(経口剤)が一般的だと思います。
錠剤タイプもありますし、ビーフ味のおやつタイプもあります。
犬フィラリア症の予防と同時にお腹の虫を駆除できるタイプのものもあります。
価格は種類によりそれぞれ異なります。
投薬期間は蚊の発生時期から蚊の発生時期終了1カ月後までです。
一年中蚊の活動が活発な地域では、冬でも犬フィラリア症予防薬を服用します。
この辺の地域ですと、4月頃から12月頃まで服用すれば十分に予防できると思います。
犬フィラリア症予防薬は、厳密にいうと「予防薬」ではなく「駆除薬」です。
成虫が心臓に寄生してしまう前に幼虫を駆除するために投与します。
駆除効果が持続するのではなく、投与前1カ月間に感染した犬フィラリアの幼虫を駆除するものです。
投薬間隔が2カ月以上あいてしまうと、犬フィラリアの幼虫は次のステージへ成長してしまいますので、犬フィラリア症
予防薬では駆除できません。
途中の投薬やシーズン最後の投薬を忘れてしまうと、心臓への寄生を許してしまう危険性が高まります。
そのため、毎月1回、1カ月間隔で最後月までしっかりと予防することが大切になってきます。
逆をいえば、毎月しっかり予防していれば犬フィラリア症から大切なわんちゃんを守ることができます。
―― 飼い主の自覚が必要ですね。
石川そうです、薬で予防できる犬フィラリア症の予防は、わんちゃんを飼ってらっしゃるすべてのオーナー様の義務だと思います。 当院では春のフィラリア予防キャンペーンを行っております。