「わんちゃんの不妊手術について」前編
キャンディ動物病院 石川記代院長
石川わんちゃんの不妊手術について、前・後編に分けてお話します。
前編は男の子の去勢手術についてです。
去勢手術をすると雄性ホルモンが無くなるため、性的活動を抑制したり、他の人や動物に対する攻撃的な行動に効果的であると考えられています。
また、マーキングの減少や男の子独特の尿の匂いが軽減され、室内飼育をし易くなります。
もう一つ、一番知ってもらいたい事は病気の予防です。去勢手術をすることにより未然に防ぐことができる病気があります。
前立腺肥大症、肛門周囲腺腫、精巣腫瘍です。
これらの病気は去勢をしていない老犬に多く、治療法は去勢手術が第一選択です。
残念ながらどの年齢層においても100%安全と言い切れる麻酔はありませんが、高齢になるにつれ麻酔のリスクが高くなるのは明らかです。
高齢で病気になってから手術をするよりも、若く健康なうちに去勢手術を済ませておくことが大切です。
犬種やわんちゃんの体格により異なりますが、生後半年から手術可能です。
―― 手術方法について教えて下さい。
石川当院ではまず、身体・血液検査等を行い麻酔が可能かチェックします。
術前から痛止めを使い、処置の最初から最後まで痛みを感じさせないようにコントロールしています。
また、人医療において最先端機種である新生児用麻酔機器、生体モニター、超音波メスを導入し、より安心・安全で、動物にやさしい医療体制を構築しています。
睾丸を摘出する際には、超音波メスを使います。
通常、血管は糸で縛りますが、固体によってはその糸に炎症反応を起こしてしまう子もいます。
超音波メスは血管をつまんで凝固・切断するだけですので、体内に糸は残りませんし、痛みや出血、腫れも格段に少なく、手術時間も大幅に短縮されます。
―― その他の注意点はありますか。
石川睾丸が陰嚢(いんのう)まで降りてこない状態(陰睾)があります。
陰睾は精巣腫瘍の発生率が通常の14倍といわれています。
精巣腫瘍は死に至ることも少なくない病気です。
陰睾は発見次第、早期に去勢手術を行うことをお勧めします。
今回のお話で、去勢は病気の予防に役立つことを知ってもらえたらと思います。
次回は女の子の避妊についてです。